はてなキーワード: 連邦公開市場委員会とは
連邦公開市場委員会(FOMC)の22日の政策決定を前に、スワップ市場が織り込む0.25ポイント利上げの確率は80%。対照的に、過去1年間の会合では毎回、トレーダーが少なくとも1回の0.25ポイント利上げを完全に織り込んでいた。その上、これまでの議論は利上げ幅が0.25ポイントか0.5ポイント、0.75ポイントのいずれになるかが焦点だった。
相対的に見て確信に欠ける状況は、10年超ぶりの米銀行大型破綻を受け、政策当局者が直面する問題がいかに複雑化しているかを浮き彫りにした。多くの投資家やエコノミストはここにきて、利上げを停止すれば当局はダメージや、地銀の信用収縮がどの程度経済を圧迫するかを判断する時間を確保できるとして、停止の論拠を指摘している。
MUFGセキュリティーズアメリカの米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は、「FOMCは利上げして見通しについてはハト派的姿勢になる可能性もあるが、利上げを実施せず、先送りすると言って済ますかもしれない」と予想する。
同氏は米国債市場の低調な流動性が極端なボラティリティーや指標国債利回りの日々の大幅変動につながっている点に言及し、「市場機能はFOMCが一時停止を正当化する口実として何度も使われてきた。市場の不安定さを理由にした利上げ見送りを非難することはできない」と述べた。
ブルームバーグが調査したエコノミスト98人のうち11人は、FOMCが22日に利上げ見送りと発表すると予想。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルは0.25ポイントの利下げを予想した。
問題を複雑にしているのは、当局によるこれまでの計4.5ポイントの利上げに経済がほとんど反応していないことが最近の雇用とインフレのデータで示唆されている事実だ。銀行破綻の前には、多くの当局者が金融引き締めを継続し政策金利を少なくとも5.5%に引き上げる方向に傾いていた。
最近の市場混乱の前は、スワップ市場では米金融引き締めサイクルが9月まで続くと想定されていたが、現在では5月に金利のピークを迎えることが示唆されている。
パウエル議長は22日、銀行システムの緊張を抑え込む最近の措置に自信を示す公算が大きい一方、エコノミストや債券投資家は、地銀が新規融資を控え融資基準を引き締めると見ている。これはFOMCが政策金利を大幅に引き上げることなく景気の鈍化とインフレ圧力の緩和を実現することを示唆している。
バンガードのポートフォリオマネジャー、ジョン・マッツイレ氏は「中期的に、つまり6カ月から12カ月の間に、ターミナルレート(金利の最終到達点)は市場がこれまで考えていたような5.5%超ほど高くならないだろう。米金融当局は何かを壊す地点に近づいており、信用状況の引き締まりに伴い景気が減速するからだ」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-21/RRW08RDWLU6901
12月に公表されたFOMC参加者の予測中央値によると、政策金利は2023年末までに5.1%に達する見通しで、今年あと数回の利上げが行われる可能性を示唆している。
ウィリアムズ総裁はニューヨークで開催された米紙ウォールストリート・ジャーナルのイベントで、「需給バランスを取り戻しインフレを低下させるために今年すべき行動という点で、依然非常に妥当な見解に思われる」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、この発言が伝わった後、より高い金利水準を織り込んだ。
FOMCは先週の会合で0.25ポイントの利上げを決め、FF金利の誘導目標レンジを4.5-4.75%とした。ウィリアムズ総裁は今後の利上げ幅として0.25ポイントが「適切に思える」と述べたが、同時に追加利上げペースは今後のデータ次第だとも言及した。
金利は「かろうじて景気抑制的な」領域に入っているに過ぎないと発言。インフレ率が高止まりする、あるいは金融環境が緩んだ場合は、政策金利を十分に景気抑制的な水準まで引き上げる必要が生じ得ると述べた。
「インフレ率を確実に2%に戻すため」、十分に景気抑制的なスタンスを「数年間、維持する必要があろう。その後、時間をかけていずれは、より通常に近い水準に金利を戻すことができると思われる」と語った。
これとは別に、米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は同日のワシントンでのイベントで、「利上げはまだ終わっておらず、金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要があると考える」と発言。
その上で「今は比較的小幅なステップで行動している」とし、「これにより、われわれには景気に対して速いペースで取った行動の効果を見極める時間が得られる」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-08/RPRNKDT0AFB401
2カ月前から広がっている考え、つまり過去1年間に8回に及んだ利上げで引き締めサイクルは終了が近いとの考えを、真っ向から打ち消す見方がこうした取引の背景にある。金利はすでにリセッション(景気後退)を引き起こすのに十分な高さにあり、連邦公開市場委員会(FOMC)は年内に政策路線を反転せざるを得なくなるというのが、それまでの考えだった。
しかし1月の雇用統計でそうした見解は一変。今週相次いだ連邦準備制度理事会(FRB)当局者発言はこの変化をさらに後押しした。利上げはあと1回、もしくは2回実施した後は打ち止めになるというシナリオは、もはや確実性の薄いものとなった。
あるトレーダーが7日に仕掛けた大口のオプション取引は、9月まで利上げが継続すれば1億3500万ドル(約177億円)の利益が出るというものだ。同様の構造をしたポジションは8日も続き、方法は違うが似たような取引も見受けられる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の建玉暫定データでは、担保付翌日物調達金利(SOFR)9月限に1800万ドル相当のポジションが建てられたことが確認されている。これはFF金利金利が6%に達することをターゲットとしている。現在の金利スワップ市場が織り込む12月想定水準である5.1%を、1ポイント近く上回る。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズの世界債券ポートフォリオマネジャー、ジェイソン・イングランド氏は「金利のピーク水準に関して、現在の市場はFRBと同じ位置に戻ってきた。問題はドットプロットが上方修正されるかどうかだ」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-08/RPRV0PT0G1KW01
*先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのメッセージは、インフレ鈍化のプロセスは始まったが、まだ先が長いというものだ
*プロセスには紆余曲折あり、さらなる利上げが必要となる可能性
*雇用統計は予想よりかなり強い
*強い雇用統計は、われわれが相当な期間を要すると考える理由を示している
*継続的な利上げが適切と予想、まだ十分に抑制的な水準には到達していない
*予想以上に強いデータが続けば、それに応じて追加利上げを実施する
*2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し
*雇用市場にダメージを与えずディスインフレが始まったのは良いこと
*新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、米国の労働力供給に永続的な影響を残した。労働者不足は「構造的」と感じられる
*労働市場は現時点で最大雇用を超えていないとしても、少なくとも最大雇用の状態
*現在のインフレの大部分はパンデミックに伴う活動の停止と再開に関連
*バランスシート縮小の終わりに近づくまでに「数年」
*債務上限巡る議論、議会の上限引き上げによってのみ終わらせることが可能で、そうなる必要がある
*債務上限が引き上げられなかった場合、FRBがその影響から経済を守ることができると考えるべきでない
*FRB、長期的に2%のインフレ目標達成に向けた手段を有しているが、インフレは世界的なイベントに影響される
*忍耐強くある必要
*サービス部門の大部分でまだディスインフレは見られず、忍耐が必要
*住宅部門でディスインフレはまだ見られていないが、今年下半期に起きる可能性
*ディスインフレがいつ大規模なサービス部門に定着するか最も懸念、外部要因も懸念
*労働市場の状況に多少の軟化が見られると予想
*労働市場は堅調だが賃金の伸びは緩やか、今回のサイクルはこれまでと異なる可能性
*われわれはデータに反応する
*好調な労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性
*力強い雇用統計、インフレ対応に長い道のりが残っているとの先週のメッセージを強調
*一段の利上げを行い、その後に十分かどうか見極める必要
FRBは物価上昇が加速した当初に「インフレは一過性」と見誤り、金融引き締めの着手が遅くなった反省から、2022年は引き締めに積極的なタカ派姿勢を前面に打ち出し急速な利上げを進めた。インフレの鈍化傾向を踏まえて1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ幅を通常の0.25%に戻し、パウエル議長はタカ派から中立的な姿勢に戻すような発言をしていた。
そうした直後に出た強い雇用統計は、企業の旺盛な採用意欲を冷まし、粘着的な賃金やサービス価格の上昇を抑えようというFRBの引き締めがなお不十分である可能性を意識させた。マケリゴット氏は中国のゼロコロナ政策の終了などで米国や世界経済に再び勢いがつき始めたこともインフレ退治には逆風とみる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0700G0X00C23A2000000/
バーンズ元議長は物価上昇圧力を徹底的に抑え込むことに失敗。金融政策を十分な期間にわたって十分に引き締めることをせず、1970年代にインフレを手に負えない状態にさせた。一方、ボルカー元議長は1980年代、2桁に上っていたインフレ率の抑制には成功したが、その代償も大きかった。失業率が10%を上回るなど、経済は深く落ち込んだ。
元FRB金融政策局長で現在はドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「パウエル議長は歴史に自分の功績を残したがっている。バーンズ氏のように見て見ぬふりをして時期尚早に政策を転換したわけでもなく、ボルカー氏のように意図的にリセッションを引き起こしたわけでもない人物としてだ」と述べた。
米金融当局は当初軽視していた物価急騰のペースに追い付こうと、積極的な利上げを昨年進めた。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げペースを0.25ポイントに落とすと予想されているが、パウエル議長は同時に、政策金利を当面、高水準に維持し、物価上昇圧力が抑制されたと確信するまで金融緩和に転じることはないと表明する公算が大きい。
しかし、こうしたハイブリッド戦略がうまくいかない可能性は高い。世界2位の経済大国である中国が経済活動を再開させる中で石油価格高騰とインフレが再燃し、米金融当局は政策金利を据え置いた後、年内に再び利上げに追い込まれるかもしれない。引き締めスタンスに固執することで、当局の予想以上に失業率が上昇する可能性もある。
民間エコノミストの大半は、金融当局が米景気を悪化させることなく、うまくやれるとは考えていない。ブルームバーグが今月行った調査によれば、エコノミストは向こう1年間に米経済がリセッションに陥る確率を65%とみている。
住宅市場は昨年の急ピッチな利上げを受け、既にひどい打撃を受けている。
ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は「消費支出が勢いを失い始めているかもしれない」と指摘。同氏は米経済が2023年後半に緩やかなリセッションに陥ると予想している。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「リセッションを回避するには、ちょっとした幸運と、ほどほどに巧みな金融政策が必要だろう」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-29/RP91JXDWLU6901
12月の個人所得・消費支出統計で、個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比5.0%上昇し、伸びは11月の5.5%から鈍化。FRBがインフレ指標として注目している、食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は同4.4%上昇。前月の4.7%から減速した。
これを受け、市場ではFRBは積極的な利上げを近く終了させるとの観測が台頭。FRBの金融政策に連動する先物は、1月31─2月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)とその次の3月の会合でそれぞれ0.25%の利上げが決定されるとの見方を織り込む水準にある。その後に0.25%の利上げが実施される確率は30%程度にすぎない。
さらに、FRBが9月にも利下げに着手するとの観測も強まった。ただ、FRB当局者は年内の利下げは想定していないとの見解を示している。
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「インフレが冷え込めば、FRBは来週、利上げペースを合法的に鈍化させることができる」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「金利上昇が需要に重くのしかかっていることが明らかな今、今年のコアインフレは緩やかに推移し続け、最終的にはFRBによる年後半の利下げ着手につながるだろう」と語った。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-inflation-rates-idJPKBN2U6186
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は17日、米国の最近のインフレ統計が心強く感じられたとしながらも、物価上昇率はまだ高過ぎるため、金融政策による抑制を緩和できないとの認識を明らかにした。
バーキン総裁はFOXビジネスとのインタビューで、利上げを緩める前に「インフレ率がわれわれの目標に納得できる形で戻る状況を確認したいと思う」と述べ、「時期尚早に勝利宣言することはできない」と発言した。
同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。
バーキン氏は「インフレ率と中央値、トリム平均が説得力を持ってわれわれの目標に戻る状況を見たい。インフレ率が高止まりする限り、いうなれば一層の引き締めのために針を動かし続ける必要がある」と語った。
連邦準備制度が選好するインフレ指標、個人消費支出(PCE)価格指数は、11月の上昇率が前年同月比5.5%と2021年10月以来の低い伸びとなった。変動の大きい食料品とエネルギーを除くコア価格指数の上昇率も4.7%にとどまった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-17/RONFBRDWRGG101
ボウマン理事は、インフレの伸びが鈍化し始めた兆候はあるものの「なお高すぎる」とし、インフレ率を目標の2%に低下させるために「FRBにはまだ多くの仕事が残されている」と述べた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを続ける見通しとする一方、今後の引き締めペースは経済状況によって左右されるとも述べた。
さらに「フェデラルファンド(FF)金利は十分に制限的な水準に達した後、物価安定の回復に向け、しばらくその水準にとどまる必要がある」とし、それは持続的に堅調な労働市場を支える基盤構築の一助になるという認識を示した。
FRBの一連の行動にもかかわらず、引き続き低水準にとどまっている失業率については「深刻な景気後退を招かずインフレを低下させることに成功できるという明るい兆候」と指摘。同時に「金融引き締めによる労働市場への影響はこれまでおおむね限定的だったが、景気を減速させることに伴い、雇用創出も減速する可能性が高い」とした。
FRBが利上げを停止するほどインフレが鈍化した判断するには、「インフレがピークに達したという有力な兆候と、インフレが低下傾向にあることを示すより一貫した指標を確認したい」と述べた。
また、気候変動に対するFRBの役割については「安全で健全かつ安定した金融システムを促進するというFRB責務に限定されたもの」という考えを示した。
パウエルFRB議長も10日、FRBには金融機関が気候変動から直面するリスクを「適切に管理する」ことを確実にするという「限られた」監督権限があるとしつつも、「われわれは気候変動に関する政策担当者ではなく、そうなるつもりもない」と言明した。
JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、デービッド・ケリー氏は、インフレ率は今年、鈍化傾向が続き、米経済は辛うじてリセッション(景気後退)を回避すると予想する。
ベテラン株式ストラテジストで、調査会社ヤルデニ・リサーチを創業したエド・ヤルデニ氏はソフトランディングの確率を60%とみる。力強い経済指標と消費者の回復力、物価上昇圧力が低下しつつある兆しを根拠としている。
ケリー氏はインタビューで、「人に話を聞くと、考え得る限り最悪の世界だと答えるが、そうではない。インフレ率は低下しつつあり、失業率は低く、われわれは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を通り過ぎようとしている。リスク資産にチャンスの可能性が高い」と語った。
昨年の20%近い世界的な株価下落を受けて、ほとんどのアナリストや投資家が慎重になり過ぎており、歴史的高水準のインフレが続きリセッションは不可避と多くが予想している。
ケリー氏は、米金融当局が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に今回の利上げサイクルを終え、10-12月(第4四半期)には利下げを開始すると見込み、こうした悲観的見方は米バリュー株の購入や投資適格級社債を割安価格で買う好機をもたらす可能性があると指摘した。
一方、ヤルデニ氏はハードランディング(硬着陸)の可能性も排除はしないが、昨年の水準に比べると大きく割安だとして金融、工業、エネルギー、テクノロジー株に機会を見いだしている。そうした企業の債券も今年は良好なパフォーマンスになる可能性を指摘する。
同氏はインタビューで「楽観主義者も悲観主義者も22年は株式・債券にとってひどい年だったという点では一致しているが、それが永遠に続くわけではない」と語った。
S&P500種株価指数が年間ベースで連続下落するのはまれで、1928年以降でわずか4回しか起きていない。ただ、いずれのケースも2年目の下げの方がきつく、平均で24%安となっている。ブルームバーグの昨年12月の調査では、23年末時点の予想(平均)は4078と6%高が見込まれている。
リセッション見通しは社債市場でも後退しつつある。高格付け債とジャンク債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドの格差が昨年9月以降、100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り縮小している。これは、景気の大幅な悪化が最も脆弱(ぜいじゃく)な社債をデフォルト(債務不履行)に導く恐れは低下していることを示唆する。ただし、依然としてパンデミック前の水準は上回っている。
ケリー氏はリポートで、「年頭に当たっての決意の一つは、理屈に合わない意気消沈は避けること。新しい年は、生まれたての赤ん坊のように楽観論を持って迎えられるのがふさわしい」とした。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0636A0W3A100C2000000/
セントルイスのCFAソサエティーでの講演で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が22年に取った積極的な行動と23年に見込まれる利上げによって、「インフレ期待は米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標である2%と整合する水準まで回復した」とし、「実体経済の正常化に伴い、23年は実質インフレ率がインフレ期待に追随し、より低い水準に向かう公算が大きい」と述べた。
さらに、現行の金融政策はまだ経済成長を制約する領域にはないが、間もなく制約的になるとし、低水準のインフレ期待と相まり、「23年はディスインフレの年となる可能性がある」と述べた。
また、年初にさえない滑り出しとなっていた米経済が22年下期に上向いたほか、雇用市場は引き続き「堅調」という認識を示した。
FRBが2%の物価目標を変更することは現実的ではないとしたほか、バランスシートの縮小を一段と進めるにはまだ幾分時間がかかるとした一方、バランスシート縮小のプロセスは順調で6─12カ月後にさらにどの程度縮小する必要があるかを見直すことが可能とした。
講演後、記者団に対して「22年秋に比べ、ソフトランディング(軟着陸)の確率が高まった」と言及。労働市場が大方の予想ほど弱まっておらず、成長も回復していることがその理由だと説明した。
また、多くの企業が採用を継続しているとし、「労働市場は23年を通じて引き続きかなり堅調に推移する可能性がある」と述べた。
その上で、現在は労働市場が強いため「インフレと闘う良い時期」とし、労働市場が堅調なうちにインフレ率を2%に戻すべきとの見方を示した。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bullard-idJPKBN2TK1FN
ウィリアムズ総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、より広範な経済と「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘。インフレ率は来年に3-3.5%に減速するとの予想を示した上で、2%にどうやって持っていくかが「真の問題」だと述べた。
「必要なことをやるしかない」と同総裁は言明。政策金利は必要ならば、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もあると語った。
FOMC参加者の予測中央値では、政策金利は2023年末に5.1%、24年に4.1%に低下との見通しが示され、いずれも9月時点の予測から引き上げられた。
FRBの最新ドット・プロット、23年末のFF金利は5.1%-チャート
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-16/RMZLEXT1UM0X01
メスター総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなくてはならない」と発言。インフレを鎮静化させるには「時間がかかる」と述べた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は13、14両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.5ポイント引き上げ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.25-4.5%となった。FOMC参加者の予測中央値では、政策金利は来年末に5.1%、24年に4.1%に低下との見通しが示され、いずれも9月時点での予測から引き上げられた。
メスター氏は「私の見通しは中央値より若干高い」と発言。「かなりの長期間、そこにとどまることが必要になると考える」とし、「インフレ率が一貫して下がるようになるまで」は5%超の金利を維持する必要があるとの考えを示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-16/RN04HPT0AFB401
パウエル議長は45分間に及んだ会見で、物価上昇圧力緩和の兆候や、失業率悪化とリセッション(景気後退)入りを巡る懸念が高まる状況の中で米金融当局がインフレ抑制の闘いで手を緩めるのではないかとの見方を一掃することに努めた。
議長は「まだやるべきことが幾分残っている」とした上で、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」と話した。金融当局は0.5ポイント利上げを決めるとともに、最新の四半期経済予測で来年の追加利上げ見通しを示した。
米金融当局が物価抑制に引き続き強い態度で臨むメッセージを発したと受け止められ、債券相場はいったん下落した。その後、景気悪化を受けて当局が来年には姿勢を転換し、最終的には利下げに踏み切るのではないかとの市場の観測を背景に、相場は上昇に転じた。
スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は「従来予想よりも高い水準に金利を引き上げてそこに維持するというタカ派姿勢を金融当局が強めているのを市場は信じていない」と指摘。「インフレは当局の予想よりもはるかに望ましい道筋にあると市場が考えているのは明らかだ」と語った。
パウエル議長は金融当局としてインフレ率を2%の目標に押し下げる決意を確認するとともに、投資家がどのように考えるとしても、「インフレ率が持続的な形で鈍化していると確信する」まで利下げを検討することはないとし、「それにはしばらくかかる」と明言した。
議長はインフレ率がピークに達した可能性を示す最近の兆候を歓迎しつつも、「極度にタイト」と表現した労働市場や、賃金上昇が企業の労働コストとインフレを押し上げる圧力につながる点に焦点を定めた。「全く痛みを伴わずに物価安定を取り戻す方法があればよいが、それはない」とも述べた。
リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズの債券ディレクター、マイケル・コントプロス氏は14日の議長会見と市場の動きに関し、「市場は自分たちが聞きたいことだけをえり好みしている」と分析。「議長発言は基本的に『一般に予想されているよりも高い水準に金利を引き上げ、そこに長く据え置く。それを知ってリスクを買いたいというのなら、自己責任だ』という趣旨だ」と解説した。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミーア・サマナ氏も、リスク資産の上昇が続けば金融当局は予想よりも高く利上げしてそこに維持することを余儀なくされる可能性があると話す。実際、パウエル議長自身も当局のピーク金利予想がさらに高くならないと確信を持って言うことはできないと警告した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMWOYDDWLU6B01
FRBは14日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り政策金利を0.50ポイント引き上げた。経済が減速し、インフレが鈍化に向かう中で、市場の関心はFRBが次にどのような行動に出るのかに集まっている。これに対するFRBの答えは、利上げの継続に決まっている、ということだ。
あわせて公表された金利見通しでは、全体として来年0.75ポイントの追加利上げを見込んでいることが示され、1ポイント以上の利上げを予想する当局者も多かった。FOMC前の段階では、追加の利上げ幅見通しが0.50ポイントにとどまるとの期待も出ていた。
もっとも、インフレ退治への覚悟を投資家に確信させることがFRBの目標であるならば、景気減速の兆しが出ているようだと認めた方がむしろ望ましかったかもしれない。市場が信じないような金利見通しを示すことは、FRBの信認を保つ上で有益ではない。
https://jp.wsj.com/articles/feds-walk-may-be-more-dovish-than-its-talk-11671061749
FOMCは14日に政策決定と経済予測を発表する。政策金利についてエコノミストは0.5ポイントの利上げを予想。その後2回の会合ではそれぞれ0.25ポイント引き上げるとも予想している。
FOMCメンバーの予測中央値は政策金利が23年に4.9%でピークを打つとしている。この水準はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標4.75-5%のレンジに相当する。9月の予測では4.6%のピークを示していた。
アップルやマイクロソフトといったテクノロジー大手が売られ、相場を大きく圧迫。ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は2%安。S&P500種株価指数は4営業日続落となった。KBW銀行株指数の構成企業は2社を除く全てが値下がりした。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は「困難な時期が待ち受けている」とし、ボーナス減額や人員削減が実施されたとしても意外なことではないと警告。バンク・オブ・アメリカ(BofA )はリセッション(景気後退)の可能性に備えて退社する従業員が減っているため、採用を減速させているとブライアン・モイニハンCEOが明らかにした。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOはCNBCに対し、来年は「緩やかないし深刻なリセッション」に見舞われる可能性があると話した。
ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのポートフォリオストラテジスト、ローレン・グッドウィン氏は「株価はまだ底入れしていない」と指摘。「株式市場では今のボラティリティー局面が今後数カ月で終了する可能性が高いが、企業業績はまだリセッション的な環境に適応したものになっていない」と述べた。
モルガン・スタンレー・アセット・マネジメントのリサ・シャレット氏は経済成長の減速やインフレで消費者の購買力が低下するのに伴い、大手企業の一角では来年の業績が想定よりもかなり大幅に落ち込む可能性もあると指摘。「企業ガイダンスの多くは妄想的だ」とし、「多くの人は不都合な現実を突然知ることになる」とブルームバーグテレビジョンで話した。
安全性を求める動きから、米国債は上昇。取引終盤に上げ幅を拡大した。10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.51%を付けた
外国為替市場ではドルが主要10通貨の大半に対して値上がり。一時は下げていたが、株価下落を背景に安全な資産とされるドルに買いが戻った。
ドルは対円では137円付近。朝方にはドル売り・円買いの動きで136円を割り込む場面もあった。
スコシアバンクのショーン・オズボーン氏は「米金融当局にとっての見通しにもっと実体的な変化がない限り、ドルの上昇は持続可能だとの確信は持てない」と6日のリポートで指摘。「しかしドルは短期的に若干の堅調を維持できるかもしれない。投資家が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に目を向け始めるためで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が同会合で金利に関する期待を上方向に誘導しようと努める可能性は十分ある」と述べた。
INGバンクのフランチェスコ・ペソレ氏は「ドルが一段と下落するには、ドルの弱気トレンド継続を投資家が確信を持って予想する必要がある。ロングスクイーズの余地は今や著しく縮小した」と指摘。「そのような予想は時期尚早であり、年末にかけてドルは回復すると想定している」と話した。
ニューヨーク原油先物相場は大幅に続落し、昨年12月以来の安値となった。金融市場全般で売りが広がる中、投資家は原油のポジションを縮小した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)はこの日の下落で年初来の上げを全て失った。原油市場では流動性の低下が続いている。北海ブレント原油先物の建玉は2015年以来の低水準。12月に入り、トレーダーらはポジションを縮小している。
シティグループの商品調査グローバル責任者エド・モース氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、原油市場で最近「理不尽」な価格の動きが見られることから、トレーダーらは「市場から逃げ出している」と指摘。「年末が近づいており、今年利益を得た人はそれを失いたくはない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、前日比2.68ドル(3.5%)安の1バレル=74.25ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は3.33ドル下げて79.35ドル。
ニューヨーク金相場は小幅に反発。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.10ドル(0.1%未満)高の1オンス=1782.40ドルで引けた。金スポット価格はニューヨーク時間午後2時半時点で0.1%上昇の1769.83ドル。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-06/RMHE12DWLU6801
11月の米雇用統計では、平均時給が前月比0.6%増と今年1月以来の大きな伸びを示し、非農業部門雇用者数も市場予想を上回る増加となった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、インフレ抑制には雇用市場の需給の緩みや企業の収益率鈍化が必要になるとの認識を示しており、こうした統計は懸念材料となる。
ウィルミントン・トラストのシニアエコノミスト、レア・トーマス氏は「米金融当局は政策金利のピーク水準を引き上げ、より長期にわたってその状態を維持せざるを得ない可能性がある」と指摘した。
セントルイス連銀のブラード総裁は、インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべきだと述べている。KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏ら一部の識者は5.5%に達するとみている。
スウォンク氏は「インフレはがんのようなもので、治療しなければ他に転移し何度も再発するような厄介なものになる」と指摘。その上で、利上げという「治療」によって「2023年は荒れた年になる」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-04/RMDJAEDWX2PU01
[2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)がこれまで積極的な利上げを実施してきたにもかかわらず、2日に発表された米雇用統計では労働市場の冷え込みがほどんどみられず、市場ではFRBが来年5月までに政策金利を5%超に引き上げると予想されている。
米労働省が2日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は26万3000人増で予想を上回った。失業率は3.7%で横ばいだった。
ただ米雇用統計発表後も、FRBが12月13─14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅をこれまでの0.75%ポイントから引き下げるとの金利先物市場の見方はなお70%となっている。
一方で、FRBが来年も利上げを継続し、経済や財・サービス需要、労働市場を減速させるとの見方を強めた。
金利先物市場やCMEグループのフェドウオッチによると、FRBは政策金利を現在の3.75─4.00%から来年3月までに4.92%に、5月までに5─5.25%に引き上げる可能性が高いとみられている。米雇用統計発表前のターミナルレート(政策金利の最終到達点)は4.75─5.00%だった。
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-fed-rates-idJPKBN2SM1GR
アメリカン・エンタープライズ研究所で講演し「われわれは制約的な領域に入っていると私は考えており、より緩やかなペースで十分に制約的な金利水準に到達することができる段階にある」と指摘。
「これについて検討することになると思う。そして、それは賢明なことだ。政策をやや調整し始める余地を与え、任務を遂行するために金利がどの程度高くなる必要があるのかや、どのくらいの期間その水準を維持する必要があるのかを再検討できる」と語った。
FRBは過去4会合連続で75ベーシスポイント(bp)の利上げを実施。1980年代以降最も急速な引き締めペースで、政策金利は3.75─4%となった。
FRBのパウエル議長は11月30日に「早ければ12月にも」利上げペースを減速させる可能性があると述べた。
パウエル氏の発言を受け、同日の米株市場は大幅上昇。現在の政策引き締めが予想よりも早期に終わるというハト派的なメッセージと受け止められた。
バー氏の発言はパウエル氏の発言とほぼ一致する内容だったが、バー氏はそうした市場の見方をけん制。「利上げペースの変化が(インフレ押し下げという)プロジェクトの真剣さの変化を反映していると考えるのは誤りだ」と述べた。
「インフレ率を実際に2%まで下げるには長い時間がかかるため、金利は長期間、高水準にとどまることになるだろう」と語った。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-barr-rates-idJPL6N32R0EY
FOXビジネス・ネットワークのインタビューで、物価上昇を抑えるのに必要な金融政策を「十分に制約的なスタンスにするためには、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標と来年に求められる水準についてまだ道半ばと考えている」と指摘。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.75%ポイントより小幅にできるかどうかについては言及しなかったが、利上げの「ペースを落とす」ことは、物価上昇圧力を抑えるために必要な水準まで金利を引き上げる取り組みの中で「一歩後退するかもしれない」ことを意味するだけだとした。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKBN2SL4E8
ブラード総裁はマーケット・ウオッチとのインタビューで、金利がインフレ抑制に向け「制約的となるための道のりはまだ長い」とし、「十分に制約的」な水準にするために、金利を現在の3.75─4%から5─5.25%のレンジへ引き上げる必要があるという考えを改めて示した。
さらに、過去のインフレ動向を踏まえ、金利が制約的な水準に達した後は「23年と2024年にかけ、その水準にとどまる必要がある」と述べた。
その上で「われわれは1970年代よりも速いペースでインフレを抑制したい」とし、来年を通じて物価上昇圧力が緩和する条件を整えるために政策金利を短期間で引き上げることを選好するとした。
12月13─14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅については、パウエル議長に委ねるという考えを繰り返した。市場では0.50%ポイント利上げが実施されるという予想が優勢となっている。
ブラード総裁は17日、ケンタッキー州ルイビルでの講演後、記者団に対し「私は以前、4.75-5%との見解を示していた」とした上で、「きょうのこの分析に基づけば、5ー5.25%ということになろう。それは最低水準だ。この分析によれば、その水準なら少なくとも(十分抑制的と見なされる)領域に達する」と語った。
講演でブラード総裁は、「十分抑制的」な政策にするという金融当局の目標を達成するには、政策金利の水準をより高くする必要があると指摘。今後も一層の利上げが必要になるとの認識を示した。
総裁は「そうした寛容な想定の下であっても、政策金利はまだ十分抑制的と見なされる領域にはない」とし、「十分抑制的な水準に達するためには、政策金利はさらに引き上げられる必要がある」と述べた。講演での発言内容は事前に配布された原稿に基づく。
講演原稿では自身が支持する具体的な水準に言及しなかったが、ブラード総裁はチャートを示しつつ、十分抑制的な政策金利について5-7%程度になる可能性があると説明した。総裁が示した金利水準の算出には、スタンフォード大学のジョン・テイラー教授が考案した指針「テイラー・ルール」の複数の別バージョンが用いられた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは現在3.75-4%。
今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つブラード総裁は12月会合で0.5ポイントないし0.75ポイントの利上げを支持するかどうかには言及せず、方向性を設定するのはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長だと記者団に話した。
先週発表された10月の米消費者物価指数(CPI)コア指数の伸びが鈍化したのを受け、幾人かの当局者は次回の利上げ幅縮小を呼び掛けている。投資家の間では、来月0.5ポイント利上げし、来年に政策金利は5%前後でピークを付けると予想されている。
ブラード総裁は高インフレの持続を招いた1970年代の金融政策の失敗を繰り返さぬよう、当局は長期にわたり政策金利を高水準に維持すると予想。「インフレ率が目標に向かって意味のある形で鈍化する明らかな証拠を目にする必要がある」と記者団に語った。
総裁はさらに、インフレ率が来年低下すると予想しながらも、その証拠はこれまでのところ比較的乏しいとの認識も示した。講演で総裁は「これまでのところ、金融政策スタンスの変更は実際のインフレに限定的な効果しかもたらしていないように見受けられる。ただ市場の織り込み具合は、2023年にディスインフレが見込まれることを示唆している」と述べた。
FRBの保有資産は、新型コロナウイルスのパンデミック対応で約2倍の約9兆ドルに膨張した。歴史的なインフレ高進に直面し、より短期間で圧縮しようとしている。
FRBは2017年から2019年にQTを実施している。今回のQT計画と比較した点を以下にまとめた。
<早めの開始>
今回のQTは、18年以来となる利上げを決めた3月のFOMCの次の会合で決定した。
これに対し前回は、15年12月の利上げサイクル開始から2年近く経過した17年秋だった。
引き締めプロセス全般で見てもQTの開始は早めだ。今回は政策金利を0.75─1.00%に引き上げた時に発表。前回は1.00─1.25%だった。
<縮小規模は倍>
4日の発表によると、資産縮小は6月から開始する。規模は8月までは月475億ドルで、9月から月950億ドル(国債600億ドル、住宅ローン担保証券=MBS350億ドル)となる。これは前回の最大月500億ドル(国債300億ドル、MBS200億ドル)のほぼ倍だ。
前回のQTでは、1年かけて月あたりの縮小規模を500億ドルまで拡大した。まず月100億ドルで開始し、18年秋に500億ドルにするまで、四半期ごとに100億ドルずつ増額した。
今回は、3カ月で最大規模の950億ドルに引き上げる。
FRBにとって初だった前回のQT開始時、保有資産は約4兆5000億ドル。これを約2年で約6500億ドル減らし3兆8000億ドル強にした。
今回は、1年間で1兆1000億ドル超削減する予定で、前回の削減総額を上回る。エコノミストの多くは、3年で約3兆ドルの縮小が目標とみている。
ニューヨーク連銀のデータによると、FRBが保有する国債は、償還までの期間が前回のQT時よりも約2年短い。これは、コロナ危機対応の初期段階で短期の国債(Tビル)を大量に購入したことが一因だ。
4日の発表によると、中長期債の償還が月当たりの縮小額の上限に達しない場合、Tビルで賄う可能性がある。
<終了の見通し>
銀行がFRBに預ける準備金が「潤沢と見なす水準をいくらか上回る」水準になった場合、QTプロセスを減速させた後に停止するとの見通しをFRBは示した。
QTは中銀準備を減少させる作用がある。前回は準備金の水準を下げ過ぎた結果、短期金融市場が動揺した。FRBはそのような事態の再発を避けたいと考えている。
<MBSを売却するのか>
3月のFOMC議事要旨は、MBSの償還が月350億ドルの上限を下回るとFRB当局者が予想していることを示した。これは住宅ローン金利がすでに大幅に上昇しているため、低金利時にみられるローン借り換えによる「期限前返済」の割合が縮小しているためだ。
議事要旨によると、保有資産縮小が「十分に進んだ」後、MBSの売却を検討することが適切である点でおおむね合意したとされる。